わたしは今、渦潮の真っ只中にいて、じわじわと海底へ引きこまれつつあるようだ。引き込もうと下から腕を伸ばしているのは、紛れもなくわたしであり、その顔は攻撃性に満ちている。
このまま引き込まれるのは簡単だ。しかし、二度と浮上しないかもしれない。たとえ浮上したとして、わたしは今のとおりのわたしのままなのか、それは甚だ疑問だ。このまま歯を食いしばって耐え忍ぶこともできるかもしれない。しかし、それが良き選択とも思えない。
結局どちらも選べないわたしは、選べないまま渦潮に巻き込まれ続けている。選ばないのではなく、選べないのだ。
しかしそんなわたしの気持ちは、周囲には知られまい。当然だ。周囲の人はただ単にわたしを、渦潮にいる人、とだけ認識するだろう。渦潮にいることを選んだ人、だと。そんなことはないと言ったって誰にも届くことはない。
だってわたしはただ単に、渦潮にいることを選んだ人、なのだから。
それってやばいよね、という話よ。