Dec 11, 2021 | in アート | by fly-g

仕方が無い

太宰の「斜陽」を読んだ。

落ちる系の文章を読みたくないのに、なぜ太宰などに手が伸びてしまったのか。

ねえこれさ、最後にとんでもなくハッピーになったりしないよね?と聞くと、太宰にそんなことを期待しているのはおかしい、と返されて、わたしは布団に潜った。電子書籍は、布団の中でも容易に読めるからありがたい。わたしの目は悪くなる一方かもしれない。

「斜陽」は、戦後の「貴族の没落」と「恋の革命」の話だそうで、内容はまあ「斜陽 解説」等で検索していただくとして。

とにかくわたしは、主人公の弟が書く手紙の、段落の始まりに何度か出てくる

姉さん。
僕は、

というところが、もうたまらなく好きなんだけど。いちいち呼び止めて、改まって、呼吸する感じの、この、えーとなんていうの、あ、どうしよう、なんて書いていいかわからない。ひどい。ああ。

とにかく、「姉さん。(まる)(改行)」で何度か繰り返される、気持ちの整理みたいなところにぐっときて、ハラハラと泣いた。

わたしはこの、太宰に漂うなんとも言えない「仕方の無さ」が好きだ。
仕方が無いのねと声に出したときの、全身に広がる許容にわたし自身が救われてしまう。おそろしい。