死の匂い

on Nov 27, 2016 / in 思考

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そのむかし、わたしがまだ小学生だった頃、近所で遺体発見の騒ぎがあった。実家の何軒か向こうにあった塀の高い家、その家の主人が死んで何日も放置されていたという。わたしは、その家が面した道を抜けたところにある友達の家によく通っていた。そうした騒ぎがあったときも、その道を通っていたように思う。

そしてある日嗅いだのは、「死」の匂い。強烈な消毒のような、なまったるい匂い。茶色の曇ったような湿った匂い。

たぶん、そのとき嗅いだのは、遺体を運び出してからいろいろ処理したあとの「後始末」の匂いだった、と大人になってから気づいたが、しかしわたしは長いことそれを「人が死んだときの匂い」だと思って過ごしてた。

ここ数日、何きっかけなのか甚だ謎だが、頭の中でその匂いを思い出している。実際に匂ってもないのに、匂いを思い出せるってどういう仕組みなんだ、やっぱ脳ってすごいわ、と人間の神秘に思いを馳せている。唐突に。

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