濡れた雑巾
9月 20, 2026
エレベーターを降りるとすぐ右には外階段、そしてすぐ正面がクリニックの入り口だ。ドアを開けるとすぐに待合室があり、7歩くらい進むと受付がある。この時期のドアは開けっぱなしだ。
待合室はいつも通り混んでいて、診察室から出て来たご夫婦は座るところがなかった。ご婦人の方は「雨降ってるかしら」と誰に言うでもなく、入り口を出て外階段の方を覗いた。そしてまた受付まで来て
「雑巾、取り込みます?雨降ってきて濡れてる」
と言った。
どうやら、外階段には雑巾が干してある。
そのご婦人は思ったのだろう。せっかく綺麗に洗った後なら、雨で濡たらいやじゃない?もし雨が降ってることに気づいていたら、受付の人も取り込もうと思うんじゃない?そもそも雑巾は乾かすために干しているのであって、濡れたら意味ないじゃない?もし自分なら、それは取り込みたいじゃない?
など。
受付の人は
「ありがとうございます〜。そこしか干すところがなくて、そのままで大丈夫です!」
と、笑顔で言った。
私は、「診察が終わって帰る時、雑巾がどうなってるか見よう」と決めていたのだが、そんなことはすっかり忘れて今に至る。
今日も雨だから、きっとまだ雑巾は濡れている。
Author : fly-g
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