「肝付ホタテがありますよ」
で握ってもらったお寿司。初めて食べるー!とわたしが写真写真していると、板前さんは「インスタ映えっすね」とニコニコしながら言った。いや、全くインスタ映えではない、と思ったが、その事実が一体なんだというのだ。わたしが求めるのは、わたしの今が克明に、あるいは虚と実像の狭間で、生々しく過ぎていくだけのただの写真である。というその事実が、いや、このかなり奇をてらった言い方が、一体なんだというのだ。いやまて、その思想こそ、インスタ映えなどではあるまいか。否か。
「えへへへインスタ映えっすね」とヘラつくわたしが作り出す、誰にというわけでもない忖度きわまりない空間に浮かぶ肝付のホタテは、異常なほどに艶めいており、わたしはそれを一口で食べた。
美味しい。