検証機にでもなるかしら、と5年前に買ったiPhone5を気まぐれに充電してみると、待ち受け画面に写っていたのは「まるちゃん」であった。
まるちゃんは近所に住む飼い犬で、わたしを含めみんながちょくちょく様子を見にいくほどの町内きってのアイドル犬。何がどう混ざったのか、柴犬とも秋田犬ともつかないしかしそれっぽい雑種で、愛されるあまりにまるまると太っており、もうすでに結構なおばあちゃんだった。
そんなまるちゃんは今年に入ってから亡くなった。老衰だ。
まるちゃーーんと呼ぶとこっちを見ながらヨタヨタやってくることも、あの広く太ましい背中を撫で回すことも、もうできないのだが、しかしまるちゃんは唐突に今日、昔のiPhoneから現れて、わたしは笑いたいような泣きたいような、なんとも言えない気持ちになった。
寝っころがりながらチラっとこちらを見てくるあの視線が、とても懐かしい。まるちゃん。