ヌードの写真
見渡せば、人間の「性」に魅了され翻弄され固執して具現化してきた芸術家は死ぬほどいるわけだけど、しかし目の前のそれは、フェティズムが十人十色なように、誰かにとっては恍惚対象だが誰かにとってはゴミクズみたいに価値のないもので、そもそも線なんて引けないのだが、じゃあわたしのこの眼前に現れた、万人に消費され、いずれ消え忘れ去られる卑猥な写真はいったいどちらなのだろう。
と、垂れ流され続けるヌーディな写真をあてもなく見ながら、電車に揺られて思うわけ。
結局は、どこに沸点があるかわからないので、延々と手探るか、あるいは偶然を待つしかない。